今井 和重|デンタルシアター|栃木県宇都宮市

「良い仕事をする工夫を積み重ねる」

― 最初にお話したように、毎日18時に仕事を終わらせる。それがウチのラボのポリシーなんです。最初はそれができるか不安もありました。でも、本気で知恵を絞って、創意工夫をすれば、限られた時間でも、満足いただける高いクオリティでご提供できています。もちろん”超最高級”の技工物ではないかもしれませんが、最高級の技工物を作製して、価格に比べてクオリティが高いコスパが圧倒的に高い技工物を作っているという自負はあります。特に同じ勉強会に所属しているドクターなどの横の繋がりの中で、沢山ご紹介を頂いているので、ドクターの方々にご好評頂いているのかなという気はしています。少なくとも、ウチの技工物が高いとドクターから言われたことは今までありませんね(笑)

質の高い技工物を作るため、他に意識されていることは?
― そうですね。印象の採り方が気になった時は、ドクターではなくスタッフさんに直接アドバイスすることはよくあります。スタッフがけっこう雑に扱っちゃったりすることがあるんです。でも、ひとこと伝えれば、スタッフさんもちゃんと気にかけて扱ってくれるので、そういうコミュニケーションは大切だと思っています。まあ、どのクリニックもスタッフの入れ替わりがありますからね。一度言って終わりではなく、やっぱりある程度、頻繁にお伝えする必要はありますね。

― 機会があればチーフの衛生士さんに、クラウンの清掃性とか、ハイブリッド素材の汚れ具合とかは気になるので、実際の状況を聞いてみることは多いですね。難しい形のケースだった時は特に聞くようにしています。最近は、CAD/CAM冠の仕事が沢山出るようになってきているので、素材の経年での汚れ具合は特に気になるところでもあります。メーカーの情報だけじゃ足りないところがあって、現場から上がってくる声というのがやはり重要ですから。

現場からの情報をとても大切にされているんですね。
― やっぱりそこが良い仕事をするための情報の宝庫ですから。現場の方に情報を聞くこともありますし、逆に、ドクターから何か新しい情報ない?と聞かれることもありますよ(笑)よく勉強されてるなと思うドクターほど、僕らの情報を大事にしてくれる印象はありますね。そうすると、僕らもさらに勉強しなきゃという気持ちになりますし、あのドクターが知りたがっている具体的な情報を、メーカーに聞いておかなきゃいけない、という意識にも繋がりますしね。

― クリニックのスタッフに読んでほしいなと思って、「CAD/CAMっていったい何?」というような基礎的な資料を作ったりもしています。これは自分の頭の中の整理としても役立っているんですが、ドクターやスタッフさんにもぜひ読んでほしいと思っているんですね。患者さんとたくさん話すのはドクターの次にはスタッフなので、こういう情報があると患者さんとのコミュニケーションに役立ててほしいなと思っています。歯科衛生士さんもドクターも、情報量がすごく多い中で治療計画を立てなければいけないわけじゃないですか。そういう中で、新しい材料やシステムに独学だけでついてくるのは実際大変だと思うんですよね。これは技工に直結する話でもあるんです。実際、「オールセラミック」とだけ指示書に書いてあったりすることがあって、作る側としてはジルコニアですかガラスセラミックですか、となるわけですが、ドクター側もよく理解されてなかったりもするんです。そういうところで、僕が力になれることがあったらなと思っています。

― また、クリニックのスタッフの負担を減らすための工夫としては、予め納期表もお渡ししています。それがないと、わざわざ受付の方が電話してきて、「忙しい患者さんなんだけどいつだったらできます?」って確認しなきゃならない。そうじゃなくて、まずはこの納期表を見ていただいて判断してもらうと相手の時間を取らずに済みます。この納期表が基本にあって、もっと短い時間、特急で納品してほしい場合にはタイムチャージをいただくということにしているので、依頼する側としてもどうしたらいいかが明確になると思うんです。

「立ち会いが患者さんにもたらす体験を大切にしたい」

今井さんは立ち会いも大切にされているとお聞きしました。
― はい。立ち会いというのを、患者さんはすごく喜ばれるんですよね。技工士が来て、歯の色を確認して、シェードテイク用のカメラで撮影して、という工程ってかなり特別な感じがするんだと思います。まるで取材されているみたい、とおっしゃる患者さんもいらっしゃいますしね(笑)

― わずかな立ち会い料はいただいているんですが、患者さんにとっては非常に意味がある時間なのだと感じます。ご自分や、ご自分の歯が「尊重され大切に扱われているという体験」そのものが特別なんだと思うんですね。ですから、僕は時間と機会があれば、出来る限り立ち会うようにしています。

― 患者さんに、うちの娘もお願いしようかしらとか、ここまでやってくれるなんて、と言ってくださるのは技工士として本当に幸福な瞬間ですね(笑)ただ、技工士として謙虚に捉えなきゃいけないと思っているのは、そういう幸福なケースというのは、僕とドクター、僕と患者さんだけではなくて、そもそもドクターと患者さんの信頼関係がしっかりできているのかなということですね。



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