技工物のクオリティを50%高める、写真撮影3つの技術

今回は特別に、QLデンタルメーカーの石原代表より、再製を減らし、より質の高い技工物を作る上で、普段、歯科医院にお願いしている写真撮影の3つのポイントについて、寄稿して頂きました。

執筆:QLデンタルメーカー 石原孝樹

前歯部症例、いわゆる前歯の補綴物は、最も高いクオリティが求められます。患者様が毎日鏡で目にするところであり、人からも見れる部分です。患者様ご自身も、前歯部の補綴物のクオリティが低ければ、人前で笑顔になりにくかったり、自分に自信が持てなくなってしまったり、いわゆるQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が、低下してしまいます。 前歯部補綴物の完成度が高ければ、患者様のクリニックへの評判にもつながり、ひいてはそれが、クリニックからラボへの信頼へとつながります。いつも以上に、気合をいれて「良いものを作ろう!」と意気込む歯科技工士の方も多くいらっしゃると思います。ですが、単に技工士の技術だけでは、最高のクオリティのものは作れません。 クリニックとラボが連携し「より精度の高い情報」を元に作らないと、いくら経験があり、技術のある歯科技工士であっても、患者様が本当に満足くださる技工物はできないと、私は考えております。これまで、前歯部症例は5000件ほど経験させていただきましたが、例外なく重要になるのは、制作前の写真撮影です。ここにひと工夫を加えるだけで、より高品質な技工物につながります。 注意すべき点は、たったの3つ。 ここを意識し、事前に準備することで、患者様の大きな満足につながると思っております。ぜひ、前歯部症例において、こちらの3つのポイントを意識いただければと思います。
ポイント1:支台歯の情報
支台歯の撮影例

支台歯の撮影例

オールセラミック症例の場合、透過性が高い材料を使用するケースが多いです。そのため、支台歯の色を拾い、そこから狙った色よりも、暗くなることがあります。 そこで重要になるのが、支台歯の正確な情報です。といっても、特に難しいものではなく、支台歯の色がきちんと分かる写真をご用意いただくだけ。この情報は、ベースシェード選択において必要になります。 ※クリニックの方が、必要であることを認識されてないケースが多いため、ラボ側から明確に依頼されることをおすすめします
ポイント2:仮歯が入った状態のスマイルラインと顔貌写真
2つ目のポイントは、仮歯が入った状態での患者様の写真を用意すること。 こちらは以外と省略されがちなのですが、完成度の高い技工物を作る上で、とても大切な情報です。この写真があることで、歯科技工士が患者様の腔内にセットされた「将来像」をきちんとイメージしながら製作することができます。 特に前歯症例の場合、
  • 下唇の邪魔にならない
  • バランスのとれた切端の長さ
  • 正中線
  • 咬合平面
などの基準になります。 たとえばこちらのような写真です。 仮歯をいれた状態で、患者様に「ニーっと、歯を見せながらニコッとしてください」とお願いすると、キレイな写真になることが多いです。
ポイント3:隣在歯、対合歯と同一平面で撮影した写真
3つ目は、隣在歯、対合歯と「同一平面」で撮影した写真になります。 前歯1製作の場合、隣在歯の情報だけで十分な場合もありますが、3-3のような場合ですと必ず対合歯のシェードが必要になります。 たとえばこちらのような写真です。

隣在歯、対合歯と同一平面で撮影した写真

3つの中で、こちらが最も注意して撮るべき写真になりますが、ポイントを押さえれば、比較的簡単に用意可能なものでもあります。 下記に悪い例、良い例を挙げておりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
  • 悪い例(ガイドが同一平面でない、ガイドが隠れている、ハレーションを起こしている)
ガイドが同一平面でないと、正しい技工物の作成が難しくなったり、ガイドがハレーションを起こすとどのシェードガイドか分からなかったり、ガイドで隠れて見えないケースもあります。
  • 良い例
上記の3つのポイントを意識いただくだけで、技工物の品質や製作スピードは間違いなく向上します。歯科技工士の方は、クリニックに依頼する際に、ぜひこの3点をお伝えください。 歯科医の方は、ラボに依頼をする時、こちらの3つの写真をぜひご用意ください。この写真があることで、コミュニケーションがスムーズになり、より高品質な技工物に間違いなく、つながると思います。 QLデンタルメーカー株式会社の詳細は、こちらからご覧ください。

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