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チタン冠!気になる技工料・保険点数・適用範囲とは?
2020年6月1日より、大臼歯(6・7・8番)のチタンクラウン(鋳造タイプ)が保険適用となりました(令和2年厚生労働省告示第227号公布)。特に、大臼歯は使用金属量が多いため、価格が高騰している金銀パラジウム合金の代替材料として、また保険CAD/CAM冠は適用制限があるため、この課題を解決する新たな保険材料となることが期待されています。おそらく将来的には、CAD/CAM冠のように、チタン冠のミリングマシンでの削り出しも視野に入ってくるのかもしれません。
チタン冠の保険点数は「1,266点」
さて、気になるチタン冠(純チタンクラウン)の保険点数ですが、1,266点です。従来の歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金が、
①技術料454点+小臼歯(525点)/大臼歯(733点)なので、小臼歯であれば約200点ほど、チタン冠の方が高く設定されています。
①技術料:1,200点
②材料料:66点
チタン冠の保険点数 = 1,266点
気になる技工料はいくら?取扱ラボはどこ?
さて、気になる技工料ですが、いくつかのラボに問い合わせたところ、6,000円~8,000円(金属代別途)の技工料に設定しているラボが多いようです(金属代は47円/g)。なお、チタン冠は2020年6月1日に保険収載されてからまだ日が浅いため、技工料の相場が変動していることにご注意ください。いわゆる「7対3」大臣告示(保険点数7割程度が技工料)が目安だとすると8,400円となるため、目安よりは、20%ほど安価な技工料に設定されていると考えて良いのではないでしょうか?
適用範囲は、大臼歯(6・7・8番)
なお、今回のチタン冠の保険適用範囲は、大臼歯(6・7・8番)のみとなっており、全部金属冠による歯冠修復に用いるものが対象となっています。鋳造用ではなくCAD/CAM用の材料を用いた場合は、従来通り、保険算定対象とならないことに注意が必要です。
適用条件:次のいずれにも該当すること。
① 薬事承認又は承認上、類別が「歯科材料(1)歯科用金属」であって、一般的名称が「歯科鋳造用チタン合金」であること。
② JIS H4650第2種に適合するものであること。
③大臼歯の全部金属冠による歯冠修復に用いるものであること。
金属アレルギーの有無に関係なく算定可能
チタンは、材料の特性として他の金属より金属アレルギーを起こすリスクが低いと言われています。今回は、金属アレルギーを有する患者等に関する記載がないため、金属アレルギーの有無に関係なく算定可能になっていることが特筆すべきポイントの一つです。チタン冠は、強度が強いため薄く製作できるため、噛む力が強い方はCAD/CAM冠よりチタン冠の方が適しているケースがあります。今回保険収載されたチタン冠は鋳造方式しか対象となっていないため、一般的な技工物の製作時間として7~8時間くらいが見込まれています(技工料換算で1時間あたり800円~1,000円/時)。医療関係の専門職の仕事としては、やや安価な設定かもしれません。
従来の金銀パラジウム冠との比較
最後に、従来の歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金との比較表を掲載しておきますので、ぜひご覧ください。(今回)チタン全部鋳造冠 | (従来)金銀パラジウム合金全部鋳造冠 | |
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保険点数 | 保険適用(1,266点) | 454点+小臼歯(525点)・大臼歯(733点) |
対象範囲 | 大臼歯のみ | 小臼歯/大臼歯 |
使用金属 | 純チタン2種 | 歯科鋳造用12%金銀パラジウム合金 |
その他 | 整体親和性が高いが、鋳造がやや難しい | チタン冠より2割程度、硬い |