〜この記事はこんな方におすすめ〜
噛み合わせについてプロから詳しく学びたい方
噛み合わせについて、イチから体系的に学びたい方
咬合理論を学び、質の高い治療を目指す方
執筆:榊原功二氏
榊原さんは、日本顎咬合学会の常任理事として長年ご活躍され、同学会の歯科技工士部会で部長を務めおられます。また、白水貿易のセミナーインストラクターなど、多方面で活躍されている咬合の第一人者。さらには、シークエンシャル・オクルージョンの開祖であるウィーン大学教授のルドルフ・スラビチェック博士に師事し、同大学認定歯科技工士資格を取得されています。
今回はそんな噛み合わせの「超プロ」である榊原さんに、咬合理論(スラビチェック咬合理論)について寄稿して頂きました。
スラビチェック咬合理論とは
スラビチェック咬合理論は、1970年代後半からウィーン大学のSlavicek教授らが提唱した噛み合わせの「フィロソフィー」です。基本的には人の進化的背景を基に自然の咬合を観察することから導きだされた概念であり、いわゆる“生体に調和した咬合とはどのようなものであるべきか”についての一つの答えとして提示された咬合理論であります。
“Gnathoogy”(顎口腔学)では健全な顎口腔機能を維持するため“前歯が臼歯を離開させ、臼歯の咬合支持が前歯と顎関節を守る”という「相互保護」いわゆる犬歯誘導の考え方が基本でした。しかし、現代人の85~90%に見られるブラキシズム行為(歯ぎしり)は病気ではなく、人間が生存していくための重要な機能であると考えられました。それらを提唱した、R.Slavicek、S.Sato らが考えた咬合様式が「“Sequential Guidance with Canine Dominance”」 (1980)であります。
ⅠⅡⅢ級咬合の顎顔面骨格の特徴
咀嚼に必要な顎関節の連続的な咬合面展開角は、永久歯の順次的萌出過程の際に、下顎の運動機能変化による骨格の発育や関節結節の発達が誘導されることにより完成されます。そのため歯科治療で咬合を再構築する場合には、上記のプロセスを十分に理解した上で顎関節を正確に調整する必要があるため、咬合器の使用は歯科技工において必須となります。
咬合様式としては、ミューチュアリー・プロテクション(理想咬合様式)の咬合であり、後方歯から前方歯へと歯の展開角が急峻となっている歯の順次性を考えた犬歯誘導の咬合です。これは永久歯列に見る歯の順次性における原則と言えます。破壊された咬合の再構成においてこの原則を応用することは基本であると考えられます。なので、歯科技工士は咬合再構築の際には、歯の順次性をいかに再現するかが重要になってきます。
Ⅰ級咬合の教育模型
2022年度セミナーに関するお問い合わせ・申し込み
シークエンシャルワックスアップ実習コース第一回目(全5回)では、Ⅰ級咬合のワキシングを通じて、アンテリアガイダンス(前方指導要素)とポステリアガイダンス(後方指導要素)及び咬合機能や下顎運動による前歯部ならびに臼歯部咬合面形態に対する影響など考えていきたいと思います。
今年のセミナーは、定員に達したため募集を締め切らせていただきました。来年も開催する予定なので、ご興味があればぜひ下記からお問い合わせください。