歯科技工士の将来は明るい?暗い?

デジタル技術の急速な発展により、「歯科技工士は将来的に必要なくなるのではないか」という不安が囁かれることがあります。

しかし、結論として「歯科技工士の需要がなくなる未来」は考えにくく、むしろ多方面でその必要性が高まると考えられます。その理由について、最新のデータを基に解説していきます。

高齢化社会と歯科技工士の需要

国際連合の最新データによると、2050年には世界人口の約16%が65歳以上になると予測されています。

特に欧州や北米では、4人に1人が高齢者になると見込まれています。こうした高齢化社会が進むことによって、歯の健康を維持するための義歯やクラウン、インプラントといった補綴物の需要を大きく押し上げるでしょう。

これの補綴物は単に失った歯を補うだけでなく、食事を楽しむための咀嚼力を取り戻し、口元の見た目を整えることで生活の質(QOL)を向上させます。 また、こうした歯科技工物は、単なる治療の域を超え、高齢者の社会的な活動や心理的な健康にも良い影響を与え、安心して笑顔になれる環境を支える重要な役割を果たしてくれます。

これからの高齢化社会において、歯科技工士が提供する技術の重要性はさらに増していきます。歯科技工士の役割は、単なる技術者に留まらず、高齢者の生活をより良いものにするための大切な支援者としての位置づけが期待されています。

デジタル技術と職人技の共存

デジタル技術の進化は歯科技工業界にも多大な影響を与えています。3DプリンターやCAD/CAMシステムの導入により効率的な製作が可能になりましたが、最終的な仕上げには熟練した技工士の手作業が不可欠です。

AIや機械学習が進化しても、「人間の感覚による繊細な調整」は機械には代替できない分野であり、これこそが歯科技工士の最大の強みです。 同時に、デジタル技術の習得や活用が求められる時代でもあります。常に新しい知識とスキルを磨き続ける姿勢が、歯科技工士としての競争力を高める鍵となるでしょう。

審美歯科の需要拡大

近年、歯科治療への意識は大きく変化しつつあります。かつては「噛めれば良い」といった機能面が重視されていましたが、今では「美しく、丈夫で、長持ちする」治療が求められるようになっています。この意識の変化により、審美歯科の需要が拡大しています。

自由診療によるセラミック修復や審美目的のインプラント治療が主流になりつつあり、金属を使った治療に代わり、天然の歯に近い見た目や透明感を追求した治療が増加しています。

また、目立たない矯正器具や透明なマウスピース型矯正も多くの患者に選ばれています。これらの治療は、美しい仕上がりだけでなく、快適さや日常生活への負担を軽減する点でも評価されています。

こうした審美歯科のトレンドに対応するため、歯科技工士には高度な審美感覚が必要不可欠です。単に技術力を持つだけでなく、患者の要望に応えられるデザインセンスや、素材に関する深い知識も求められます。さらに、歯科医師と綿密に連携し、患者ごとに異なるニーズに対応できる柔軟性も重要です。

審美歯科の需要が今後も増加していく中で、歯科技工士の役割はさらに重要性を増し、多様なスキルを持つ人材への期待が高まっています。これにより、業界全体がさらなる発展を遂げる可能性を秘めているといえるでしょう。

人材不足と新たな課題

現在、歯科技工士業界は深刻な人材不足という課題に直面しています。この背景には、若い世代の歯科技工士を育成する学生数が大幅に減少している現状があります。

過去30年間で歯科技工士を目指す学生の数は4分の1にまで減少し、それに伴い教育機関の閉鎖が増加しているのが現状です。

また、新卒の歯科技工士の約80%が5年以内に離職するという非常に高い離職率も問題視されています。

さらに、2024年のデータでは、養成機関の入学者の61.7%が女性であり、特に都市部では女性が大半を占める状況となっています。

このような課題を解決するためには、働き方改革による職場環境の改善や、学生の興味を引きつける教育制度の見直しが不可欠です。

特に、若い世代が長く働き続けられるようなサポート体制の構築が求められています。これにより、歯科技工士業界が抱える人材不足の問題に対応し、業界全体の活性化を図ることができるでしょう。

世界的に評価される日本の技術力

日本の歯科技工士は、国家資格を必要とする厳格な教育を受けており、その高い技術力は世界的に評価されています。

義歯やクラウン、インプラント補綴物の製作において、日本の技術は精度の高さと美しさで海外からも注目されています。一部の国では資格制度がない中、日本の歯科技工士は「信頼できるパートナー」として需要が高まっています。

また、近年のデジタル技術の普及により、CAD/CAMシステムを活用した効率的な製作が可能となりましたが、最終的な仕上げには職人技が不可欠です。この「デジタルとアナログの融合」は日本独自の強みといえます。

今後、国内外での需要に対応するため、さらなる技術革新や語学力向上が求められます。日本の歯科技工士は、世界の歯科医療を支える重要な存在として、これからも活躍が期待されています

明るい未来を築くために

歯科技工士は、進化し続ける歯科医療の中で欠かせない役割を担っています。今後、さらに需要が高まる分野である一方、人材不足や離職率といった課題も残されています。

しかし、これらの課題を少しずつ克服し、技術を磨き続けることで、歯科技工士としての明るい未来を築くことができるでしょう。


出典:
https://www.smtb.jp/-/media/tb/personal/useful/report-economy/pdf/127_2.pdf
https://dental-web.jp/dental-technician/

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