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歯科技工業界の動向
歯科技工所は約21,000軒。年々増加傾向。
厚生労働省の調査(衛生行政報告)によると、2020年(令和2年)、全国には34,826人の歯科技工士が活躍しており、20,879の歯科技工所で働いています。その大半が個人経営の小規模な歯科技工所であり、1つの歯科技工所の平均従業員数に換算すると約1.7人となります。つまり、歯科技工業界は、数人の技工士で経営されている小規模な歯科技工所が全国に散らばっている「小規模分散型」のビジネスモデルとなっています。※技工士ドットコムで注目のラボをご紹介。技術やコミュニケーション力など、特色あるラボの詳しい情報をご覧ください! QLデンタルメーカー|神奈川県川崎市 Dent Craft Studio Mʼs Art|神奈川県川崎市 小川製作所|東京都台東区 株式会社DLP|東京都目黒区 u-Style うすいキカク|神奈川県横浜市
売上10億円超の歯科技工所は、全国に12社。
一方で、数十人~数百人の歯科技工士が働き、年間売上が10億円を超える大手歯科技工所も存在します。有名な歯科技工所の一例を挙げると、札幌デンタルラボラトリー(北海道)、成田デンタル(千葉)、杏友会(東京)、スワデンタル(神奈川)、デンタルアクト(神奈川)、ワールドラボ(新潟)、グランド・ラボ(愛知)、和田精密歯研(大阪)、リック(大阪)、シケン(徳島)、ギコウ(福岡)、愛歯(熊本)といった歯科技工所が挙げられます。なお現在、日本で最大手の歯科技工所は和田精密歯研(大阪)で、年間の売上規模は、約100億円です。これらの歯科技工所では、保険の歯科技工物をメインに作製しつつ、一部、自費の歯科技工物を作成している状況です。下記に、国内の大手ラボを列挙してみましたので、ご興味のある方はご覧下さい。中国には500人以上のスーパーラボも。
一方で、海外に目を向けてみると、お隣の中国では、500人以上の歯科技工士が歯科技工物を作製している『スーパーラボ』と呼ばれる大規模な歯科技工所が続々と増えており、現在、11社のスーパーラボが中国国内には存在しています。その大半は、上海や広州、深センなどの中国の南部に集中しています。これは、大規模な歯科技工所の経営者の多くが香港系や台湾系であることと密接な関係があり、さらには香港や台湾への輸出入に有利であることなどが挙げられます。また近年では、3DプリンターやCADCAM、口腔内スキャナーなどの歯科業界のデジタル化の流れを受けて、地理的な制約が少なくなっており、香港や台湾だけでなく、はるか遠方の欧米などからも外注委託を広く受け入れており、一説では、アメリカの安価な歯科技工物の1/3程度が中国で作製されているとも言われています。海外では、歯科技工所は日本国内とは異なり、大規模資本によるビジネスモデルへと急激に変貌を遂げつつあるのです。