第4章. 開業時における求人の要点

歯科医院の開業において、求人活動は事業の成否を左右する重要なステップです。特に、開業初期のスタッフ選びは、医院の雰囲気や経営の基盤に大きな影響を与えます。

しかし、「どこで求人を出せばいいのか」「どのくらいの人員を採用すればいいのか」など、初めての方にとっては未知の領域と言えるでしょう。 本章では、求人活動における準備から採用後のフォローアップまで、実践的なポイントを解説します。

求人活動の準備

求人専用のホームページを用意する

応募者に医院の魅力を伝えるために、可能であればクリニックのホームページだけでなく、応募者が情報を得やすいよう「採用サイト(求人専用のホームページ)」があると、より有利な採用活動が可能になります。

このページには医院長やクリニックの情報を記載し、簡単な写真や仮の画像を使っても構いません。ホームページは、応募者に「ここで働きたい」と思ってもらうための情報をできる限り掲載していきましょう。

応募連絡用の電話番号の取得方法

求人活動中、専用の電話番号を取得しておくことをおすすめします。
個人の携帯番号を使用すると、業者からの営業電話が増え、本来の応募電話を妨害される可能性があるからです。
固定電話風の番号が契約できるサービスを利用して、スムーズな連絡環境を整えましょう。

採用人数と給料設定の基本

開業時の理想的なスタッフ構成

開業時の一般的なスタッフ構成は以下の通りです:
ドクター:1名
歯科衛生士:2名
歯科助手兼受付:1名
しかし、特に歯科衛生士は慢性的な人手不足のため、現実的には衛生士1名、助手2名でスタートするクリニックも多いです。
現実的な範囲で計画を立てましょう。

給料設定のポイントと注意点

給与は、近隣エリアの相場を調査し、競合よりも少し高めに設定すると効果的です。
月に2〜3万円の差でも、優秀な人材が集まりやすくなります。
この差額が結果的に医院の売上向上に繋がることを意識し、給与を単なる経費ではなく投資と考えましょう。

求人媒体の選び方

職種別に見る効果的な媒体の特徴

歯科衛生士
グッピーやジョブメドレーなどの医療特化型求人サイトを活用すると良いでしょう。
人材紹介業も検討に値しますが、コストが高いため、他の手段で採用が難航した場合に選ぶことをおすすめします。
歯科助手
ジョブメドレーやグッピーに加え、とらばーゆやタウンワークなども有効です。
助手に関しては人材紹介業を利用するケースは少なく、インターネット媒体を活用するのが一般的です。

最近では、採用したいスタッフごとにカスタマイズしたスカウト文を送ることで採用につながりやすい傾向もあるため、一人ひとりに合った文章を作成アピールすることが重要です。

人材紹介業のメリットとデメリット

人材紹介業では、1人あたり50万円〜80万円の費用が発生します。
コストは高いものの、採用が難しい歯科衛生士を確実に採用したい場合に有効です。
ジョブメドレーなどの成果報酬型媒体も低コストで人気がありますので、状況に応じて使い分けましょう。

求人広告作成のコツ

実際に求人広告を作成するときに大切なのは、「応募者目線で作成する」ことです。 特に以下のポイントを意識するとより良い求人広告になるでしょう。
応募者が重視する「人間関係の良さ」を強調
「スキルアップ」や「学べる環境」の魅力も適宜加える

例文

「当院はスタッフ同士の人間関係を大切にしています。円滑なコミュニケーションを通じて、安心して働ける環境を整えています。」

広告文の内容次第で応募数が大きく変わるため、時間をかけて丁寧に作成することが重要になってきます。  

採用面接の進め方

求人が集まったら、次は採用面接です。
採用面接では履歴書をチェックする上でのポイントや、面接時に聞くべき質問を抑えておきましょう。

面接時に確認すべき履歴書の内容

履歴書は以下のポイントを重視してチェックすると良いでしょう。
丁寧に書かれているか
適切な文字数でスカスカではないか
クリニックの理念や共感点について記載されているか

面接時に聞くべき4つの質問

こちらの4つについては、応募者を見極める上でとても効果的な質問です。
できるかぎり面接時に問いかけるようにしてください。

最近気になる社会問題について
→ とっさの対応力を確認。

前職を辞めた理由
→ 前職の悪口が多い応募者は要注意。

協調性の有無
→ 学生時代の部活動やアルバイト経験を掘り下げる。

他の面接状況
→ 他院の面接の進捗状況を確認し、早急な意思決定に役立てる。

採用後の準備とフォローアップ

面接を通して、一緒に働きたいスタッフが決まったら、次は必要書類の作成をしていきます。
とても大切な段階なので間違いのないように丁寧に行なっていきましょう。

必須書類の作成と管理方法

採用後には以下の書類を準備しましょう:
雇用契約書
労働条件通知書
守秘義務契約書
これらは就業開始の1〜2週間前に交わし、双方の同意を得た上で保存しておきます。

勤怠管理・給与計算の効率化

勤怠管理にはクラウド型サービスの利用がおすすめです。
費用は月額3000円程度で、給与計算も同程度のコストで対応可能です。
公平性を重視し、1分単位での計算を導入することで、スタッフの信頼を得やすくなります。

社会保険手続きの流れ

保険手続きは主に以下の2箇所で行います:
ハローワーク:雇用保険・労災保険
年金事務所:健康保険・厚生年金
混雑状況にもよりますが、1時間ほどの所要時間で完了します。
初回は自分で手続きし、手順を理解することをおすすめします。

まとめ

求人活動は、クリニック経営の成功を左右する最初の一歩です。求人専用ホームページの作成や適切な媒体選び、応募者目線の広告作成を通じて、応募者の興味を引き付けましょう。

また、面接では応募者のスキルだけでなく、チームに適した人間性を見極めることが大切です。
採用後もフォローアップを怠らず、スタッフとの信頼関係を築くことで、クリニック全体の成長を支える人材を育てることができます。

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