参考:令和8年度診療報酬改定におけるベースアップ評価料等について
8.歯科技工所ベースアップ支援料の届出について
本記事では、歯科医師および歯科技工士の皆様に向けて、本制度の概要と、押さえておくべき算定ルール、そして具体的な届出・申請の手続きについて解説します。
1. 歯科技工所ベースアップ支援料とは?
本制度は、歯科技工所に所属する歯科技工士の確実な賃上げによる処遇改善を目的としています。算定主体は「歯科医療機関」
この支援料は、歯科技工所が直接算定・請求するものではありません。**歯科医療機関(歯科医院)が算定し、その全額を歯科技工所への委託費の増額分として支払う(還元する)**仕組みとなっています。
算定点数
1装置につき 15点(クラウン、ブリッジ、義歯、暫間補綴装置など)
※令和9年6月以降は、所定点数の100分の200(=30点)での算定が予定されています。
2. 算定に関する実務上の注意点・Q&A
実務において疑問に持ちやすいポイントをまとめました。Q. 院内ラボ(院内技工)でも算定できる?
A. 算定できません。本制度は歯科技工所への委託を前提としているため、自院に所属する歯科技工士が製作・修理を行った場合は対象外となります。
Q. 歯科技工所からの請求方法は?消費税はどうなる?
A. 歯科技工所から歯科医院への請求にあたっては、通常の技工料金に含めるのではなく、「別建て請求」が推奨されています。また、本支援料には消費税が含まれるため、15点(150円)の場合、税抜136円・消費税14円として取り扱います。支援料を消費税の増額分に充当することも認められています。
Q. 技工物が完成しているのに、患者が来院しなくなってしまった場合は?
A. 補綴物等の製作がすでに行われているにもかかわらず、患者の未来院や治療中止、死亡などにより装着できなかった場合でも、未来院請求時に算定することが可能です。
3. 【歯科医療機関向け】届出・申請の手続き方法
本支援料を算定するためには、歯科医療機関から地方厚生局へ「施設基準の届出」を行う必要があります。届出のスケジュール
令和8年6月から算定を開始する場合、**令和8年5月中(5月7日〜6月1日必着)**に届出を完了させる必要があります。
届出のステップ(電子申請を推奨)
届出は、原則としてエクセル形式のファイルを用いたメール申請で行います。
1. 様式のダウンロード:厚生労働省のベースアップ評価料特設ページから届出様式(エクセル形式)をダウンロードします。
2. 様式への入力:「別添2(特掲診療料の施設基準に係る届出書)」および「様式101(届出書添付書類)」の必須項目に入力します。特に「製作委託等を行う歯科技工所の名称」や「歯科技工所における賃金引き上げの方法」については、委託先の歯科技工所と連携して具体的に記載します。
3. メールで提出:作成したエクセルファイルを、管轄する地方厚生局(都道府県事務所)の専用メールアドレス宛に送付します。ファイル名の冒頭には医療機関コードを記載してください(例:9999999_歯科技工所ベースアップ支援料届出.xlsx)
【重要】毎年の「実績報告」が必須
届出を行った歯科医療機関は、毎年8月に、前年度の賃金改善の支援状況について「実績報告書(様式102)」を提出する義務があります。忘れずに対応できるようスケジュールに組み込んでおきましょう。
4. 制度活用には「歯科医院と歯科技工所の連携」が不可欠
本制度を最大限に活用し、業界全体の課題解決に繋げるためには、両者の協力が欠かせません。・歯科技工所の皆様へ:本制度は歯科医院の届出がなければスタートしません。歯科技工所側から取引先の歯科医院へ制度の趣旨を説明し、届出の協力を依頼することが重要です。その際、届出に必要な歯科技工所側の情報をあらかじめ入力したエクセルデータを提供するなど、歯科医院の負担を減らす工夫が推奨されます 。必要に応じて「協定書」を取り交わすことも有効です。
・歯科医師の皆様へ:歯科技工士の処遇改善は、高品質な補綴物の安定供給、ひいては円滑な歯科診療体制の維持に直結します。未来の歯科医療を守るための投資として、積極的な届出と算定にご協力をお願いいたします。
制度の詳細や最新の様式については、必ず厚生労働省の公式ページや通知等の一次情報をご確認ください。




