第6章. ディーラーを決めて、事業計画書を作成

はじめに

歯科医院の開業には、決めなければいけないことが多数あります。その中でも特に重要なのが「ディーラー選び」と「事業計画書の作成」です。信頼できるディーラーは、器材選びや内装サポートだけでなく、経営のパートナーとして長期的に医院を支えてくれます。

また、事業計画書の作成は「医院経営を成功に導くための地図」といえるため、きちんと計画書を寝ることがとても大切です。本章では、ディーラーの選び方や事業計画書の作成方法を詳しく解説します。

ディーラーの選び方

そもそもディーラーとは?

歯科医院にとってディーラーは、器材や消耗品の供給を担う重要なパートナーです。新規開業時には、物件探しや内装工事のサポートなど、多岐にわたる役割を担います。信頼できるディーラーとの関係構築は、医院の安定経営に直結します。

ディーラー選定のポイント

全国規模のディーラーから地域密着型ディーラーまで、多様な選択肢があります。必ず複数の業者から相見積もりを取り、価格とサービス内容を比較しましょう。

場合によっては数百万円の差が出ることもあるので相見積もりは必ず出してもらいましょう。

全国区と地域特化の違い

全国規模のディーラーは価格が安い傾向があります。特に標準的な設備や大量購入に強みを持っています。

地域密着型ディーラーはきめ細かいフォローアップが期待できます。不動産や内装業者とのつながりがあるため、物件情報を優先的に提供してくれるケースもあります。ただし、提携業者とのパッケージプランが割高になる場合があるので注意が必要です。

事業計画書の必要性

事業計画書は、単に数字をまとめた書類ではなく、医院経営の「地図」であり、「指針」であり、「評価ツール」です。

計画書があれば、経営判断をスムーズに行え、リスクを最小化し、目標達成への道筋を明確に描くことができます。計画書は医院の安定経営と成長を支える基盤となるため、丁寧に作成することが重要です。

事業計画書の役割

事業計画書には、次の2種類があります。
銀行提出用 開業資金の融資を受ける際に必要な書類です。 経営管理用 実際の経営を管理するための計画書で、こちらが長期的に重要です。

計画書に含めるべき内容

自費と保険診療の割合
チェアの台数や雇用人数
月々の損益分岐点と収益目標
特に「経営管理用」の計画書には、目標とリスクを明確にした松竹梅のシナリオ(上手くいった場合、平均的な場合、失敗した場合の3段階)を含めましょう。

成功シナリオの作成

例えば、最低限達成すべきシナリオとして「月収350万円を3ヶ月以内に実現する」計画を立てることが重要です。この目標を基に、収益と費用をバランスよく組み立てます。

開業後3ヶ月の目標設定

月収350万円を目指す理由

歯科医院の平均的な損益分岐点は月収280万円と言われています。これを超えるためには、まず月収350万円を目標にするのが現実的です。
この収益があれば、医院運営に必要な固定費と変動費をカバーし、手元に余剰資金を残すことができます。

初月からのカルテ枚数計画

初月には280枚のカルテを目指します。これを達成するには、内覧会を活用し、患者を集める計画を立てることが重要です。

離脱率を考慮した計画の修正

患者は治療終了後に離脱するケースが多いため、リピート率も考慮しつつ、継続的に新患を獲得する必要があります。

内覧会と広告戦略

内覧会の重要性

内覧会を3日間行うと、平均で約80人の新患を獲得することができます。さらに、見学のみの患者が後日予約するケースもあり、追加で80人を見込むことができます。

合計すると、初月で計160人の患者が期待できるため、内覧会は必ず行いましょう。

リスティング広告の活用

ホームページ公開直後は検索結果に表示されにくいため、リスティング広告で患者を獲得します。広告費用は月5~10万円程度が目安です。

広告宣伝費の目安

開業直後は広告宣伝費を惜しまないことが重要です。売上の10%程度を広告に充てる計画を立てると良いでしょう。

資金管理と返済計画

資金管理の基本

事業計画書に以下の要素を含めて、月単位で管理します。
固定費:家賃、社会保険 変動費:材料費、技巧料 人件費:スタッフ給与

返済計画の重要性

最近では、月50万円ほどの返済額が一般的です。返済は税引き後の利益から行うため、資金計画に組み込む必要があります。

自由診療の進め方

開業直後は、無理に自由診療を増やさず、患者の信頼を得た後に段階的に導入しましょう。

成功するための実践的な管理手法

スタッフ採用と人件費のバランス

人件費率が13%以下になると、スタッフの負担が増えすぎて医院運営に支障をきたします。適正な人員配置を心がけましょう。

経営管理の実例

事業計画を適切に管理した結果、1年半で口座残高が837万円から3000万円以上に増加した事例もあります。コンサルタントの活用も検討しましょう。

事業計画書のフォーマット作成

事業計画書のサンプルやエクセルシートを利用して、見やすく実用的な計画書を作成します。

最後に

信頼できるディーラーを選び、現実的な事業計画書を作成することで、開業の成功率を大幅に向上させることができます。

計画は柔軟性を持たせつつ、リスクを最小限に抑えるシナリオを立てることが重要です。成功する医院運営の第一歩を、この章を参考に踏み出してください。

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