【2023年8月】歯科用口腔内スキャナーの最新動向

本記事は、ケルンで行われたデンタルショーや国内外の取材・インタビューをもとに、2023年8月時点での情報から作成されています。

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国内はiTero 1強の状態

アライナー矯正として圧倒的な認知度を誇るインビザラインを導入したい歯科医院の場合は、同社の口腔内スキャナーであるiTeroを購入しなければならないという縛りがかかっているため、iTeroは必然的に圧倒的な国内シェアを獲得しています。一方で、日本以外の国々ではインビザラインはオープン・システムとなっており、スキャナーメーカーの縛りがないことから、実はiTeroはあまり普及拡大していません。近年は、海外市場の動向を見る限り、販売価格と性能のバランスが良いメディット社のi700の方がiTeroよりも選ばれる傾向が散見され、特に北米や南米を中心に急速にシェアが拡大しています。

資金力のある歯科医院はiTeroと(トリオスorプライムスキャン)の2台持ち

弊社の取材いもとづくと、治療精度へのこだわりや歯科医院経営の感度の高い歯科医院の場合は、資金が許すのであれば口腔内スキャナーのiTero、Triosもしくはプライムスキャンを複数台購入する歯科医院が多い傾向です。プライムスキャンの精度やスキャンスピードは学会や論文でも評価が高く、インビザラインを必ず導入したいという理由がなければ(補綴で利用する場合は)、Triosもしくはプライムスキャンを購入する歯科医院が多いようです。

クリアコレクト、シュアスマイルが緩やかに拡大

つい先日まで矯正と言えば「インビザライン」と言われるくらい断トツの存在感でしたが、2023年に入り、ストローマンのクリアコレクトやデンツプライのシュアスマイルのシェアが拡大しています。この2社のアライナーは、「アウトソーシング・アライナー」とも呼ばれ、口腔内スキャナーの機種依存がないことが大きな特徴です。またアライン社へ丸投げ要素の強いインビザラインに比べて、矯正医がより専門的で高度な知見に基づいた矯正治療を行えることからクリアコレクトやシュアスマイルへの支持が増えている要因です。最近では「インハウスアライナー」と呼ばれる、いわゆるラボに外注するのではなく、医院内に3Dプリンターを導入してアライナーを行う医院が増加している。
さて、ここまではいわゆる、「プレミアムカテゴリー」と呼ばれる高価な口腔内スキャナーの動向に関する情報を整理してみましたが、いかがでしたでしょうか。ここからはより販売価格が安価な「廉価版カテゴリー」の口腔内スキャナーに関する情報をまとめてみたいと思います

神楽、WEスキャンが国内新登場

これまで廉価版カテゴリーは、実売価格が約190万円のSHINING3Dという機種ほぼ一択であり、価格感度の高い歯科医院に幅広く選ばれていました。しかし今年に入って立て続けに「神楽」、「WEスキャン」と呼ばれる廉価版の口腔内スキャナーが薬事承認され、国内で新発売されています。また、後ほど述べますが他にも日本参入を予定している中国や韓国メーカーが数社控えており、それらも含めてドイツのデンタルショーでの情報を元に考察してみたいと思います。

SHINING3D社『Aoralscan3』

廉価版カテゴリーでは古参メーカーであり、以前は購入チャネルが限られていましたが最近は国内の複数の業者経由で購入が可能となっています。また、ドイツのデンタルショーで展示された最新機種は、フェーススキャン機能が搭載されたり、ワイヤレス化・高速化されたりしており、使い勝手がかなり向上しているようです。

デルタン社『神楽』

神楽は、中国のPANDAスキャナー社(https://www.panda-scanner.com/)のOEM製品であり、中国のPANDA社では、最新機種のPanda Smart、1世代前の機種であるPanda P3、2世代前の機種であるPanda P2という流れで販売されており、デルタン社が取り扱っている神楽はPanda社の最新機種と比較すると2世代前のOEM製品となるようです。そのため、やはりスキャンスピードや解像度はプレミアムカテゴリーの機種には劣りますが、150万円程度という価格が魅力の機種となっています。

ホワイトエッセンス社『WEスキャン』

全国にホワイトニングのクリニックをフランチャイズ展開しているホワイトエッセンス社が取り扱っている機種です。すでに全国200カ所以上の加盟店に導入されています。販売価格は約190万円とSHINING3Dと同価格帯の機種となります。

今後、国内で発売予定のメーカー

上記以外にも、販売価格が150万前後となる機種の日本国内販売が計画されており、韓国のや中国のフッセンや3Dプロという企業が現在、日本国内への販売展開の準備を進めています。同じく韓国メーカーのレイジャパンは今夏に発売されています。そちらについての動向はまた改めて記事に取り上げさせていただきます。

このように廉価版カテゴリーは、今後ますます群雄割拠の時代を迎えることが予想され、小型化、高速化、ワイヤレス化が進み、まだまだ安価な機種の口腔内スキャナーが登場することが見込まれます。さらには、付属するソフトウェアの高機能化やセレックのように補綴物を削り出すためのミリングマシンやスキャナーも含めた一貫したシステムを安価に提供するメーカーも登場する予定のため、いよいよ今後、これらの韓国・中国メーカーがに日本国内に参入することによって、本格的なデジタル時代の到来を迎えることとなります。

まだ機能が日進月歩で、今は買わない歯科医院が大多数

ここまで2023年8月時点での情報を元に現状を整理してみましたがいかがでしたでしょうか。海外でのデンタルショー、国内外の市場動向、歯科医院の現場取材などをベースにした調査により、技工士ドットコムの独自見解ではありますが、下記のようにまとめてみました。

・インビザを導入したい歯科医院 ⇒ iTeroを導入
・複数台購入したい歯科医院 ⇒ iTeroと(プライムスキャンorトリオス)の2台持ち
・とりあえず買ってみたい歯科医院 ⇒ 廉価版スキャナーを検討
・大多数の歯科医院 ⇒ 興味あるが購入せずに様子見

たしかに新しい医療機器を試してみたいという層の中では、口腔内スキャナーは少しずつ普及し始めていますが、実際には興味はあるけれども様子見をしている歯科医院というのが大多数です。いずれ日本中の歯科医院で当たり前のように口腔内スキャナーが使われる時代がくると思いますが、現時点では購入しているのは資金的な余裕のある歯科医院が中心となっている印象です。詳しい話を聞いてみると、国に多く納税するくらいならば今日のある口腔内スキャナーを買ってみようかな、モノづくり補助金を活用できるならば買ってもいいかな、というスタンスのドクターが多いように感じました。

筆者の基本的な立場を明確にしておきますが、歯科業界はデジタル化が遅れており、今以上にもっとデジタル化が加速すべきだと考えていますが、一方で国内の現状を鑑みると、口腔内スキャナーが爆発的に普及するには保険収載されなければ難しいのかもしれないと感じています。特に廉価版カテゴリーの口腔内スキャナーは、まだ機能も伸びるし、価格も下がる余地が残されているため、購入すべきタイミングを見極めることが難しい状況です。

保険収載に関しては、もうかれこれ10年近くもの間、「来春あたりそろそろ・・・」や「国内メーカーが2社くらいでてきたら収載されるらしい・・・」などというさまざまな噂が飛び交っていますが、現時点では誰も全く見通せておらず、今後何か動きがあれば技工士ドットコムのサイト内でご報告させて頂きます。

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