ついにIOSが保険収載!
2024年6年から、ついに口腔内スキャナー(IOS)が保険収載されることが発表されました。この記事では、詳しい点数や算定ルール、歯科医院にとって導入するメリットがどのくらいあるのかについて解説したいと思います。保険算定ルールの概要
結論から言うと、口腔内スキャナー(IOS)を導入してCADインレーを製作すると18点が加算されます。うっかりすると、口腔内スキャナー(IOS)を導入するとCADインレーで100点も加算されそうな気分になるのですが注意が必要です。また、もし歯科技工士が立ち会えば50点加算されるので、院内ラボをお持ちのクリニックは合計68点の追加となりますが、多くの歯科医院の場合は18点だけになると思います。以下に18点となる理由を詳しく見てみましょう。
従来は、印象に関する点数は、
印象64点、咬合採得18点=合計82点
を請求していました。
一方で今回、これが口腔内スキャナー(IOS)による光学印象(100点)に置き換わることによって、今回の光学印象100点-従来の印象82点=18点が純粋な加算分となります。つまり、CADインレーを口腔内スキャナーの光学印象に置き換えることにより、180円が純粋な追加加算分となるのです。
口腔内スキャナー導入で医院は儲かるのか?
現在、口腔内スキャナー(IOS)は、高額な機種は400万円前後、廉価版は200万円前後で販売されています。もし200万円の廉価版を購入したとしても、少なくとも適用範囲がCADインレーのみの場合、税込220万円÷180円/本=12,220本もCADインレー治療しないと、購入費用は回収できないのです。つまりCADインレーを1万2000本以上も治療して初めて、口腔内スキャナー(IOS)の購入費用の元が取れるということは、もし毎日コンスタントに2本のCADインレーを治療しても、約23年間以上も購入資金の回収に時間がかかることになり、いかに非現実的な数字なのかが分かると思います。
もちろん今後、口腔内スキャナー(IOS)による治療の適用範囲は広がると思いますが、今後、まだ機能の進歩や使い勝手の進歩が見込まれる中、今回のCADインレーの光学印象の保険収載がどのくらいクリニックにとって価値があるのか、金銭的な収支の面では懐疑的だと言わざるを得ません。
少なくとも現在は、大半の歯科医院にとってCADインレーだけでは口腔内スキャナー(iOS)の購入費用を回収できないことは確実です。
さらにもっと詳しい口腔内スキャナー情報を知りたい方は、ぜひ下記の記事もご覧ください!
参考:厚生労働省|歯科診療報酬点数表(2024年6月歯科保険収載)
M003-4 光学印象(1歯につき)100点 (新設)
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、区分番号M015-3に掲げるCAD/CAMインレーを製作する場合であって、デジタル印象採得装置を用いて、印象採得及び咬こう合採得を行った場合に算定する。
注2 区分番号M003に掲げる印象採得、M003-3に掲げる咬こう合印象及びM006に掲げる咬こう合採得は別に算定できない。
注3 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、区分番号M015-3に掲げるCAD/CAMインレーを製作することを目的として、光学印象を行うに当たって、歯科医師が歯科技工士とともに対面で口腔くう内の確認等を行い、当該修復物の製作に活用した場合には、光学印象歯科技工士連携加算として、50点を所定点数に加算する。ただし、同時に2以上の修復物の製作を目的とした光学印象を行った場合であっても、光学印象歯科技工士連携加算は1回として算定する。