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【2019年最新情報】オススメの人気の口腔内スキャナーとは?
口腔内スキャナーを導入するメリットって何?
ここ数年、歯科業界では口腔内(オーラル)スキャナーの性能が著しく進化し、実際の臨床の現場で利用される機会が増えています。特に欧米を中心とした海外では、歯科医院の診療現場で日常的に口腔内スキャナーが使われています。しかし、日本国内の歯科医院で口腔内スキャナーを導入しているのは、まだ、2.9%くらいです(技工士ドットコム調べ)。従来、補綴物の印象採得は、アルギン酸やシリコン印象材を使い、その後、石膏を流し込んで石膏模型を作製していました。口腔内(オーラル)スキャナーを導入すると、印象剤や宅急便を使う必要がなくなり、材料費や模型送料などの金銭的なコストが削減されます。
さらには、作業時間短縮によりドクターや歯科衛生士の人件費の削減にもつながるため、歯科医院の利益向上という意味において、口腔内(オーラル)スキャナーの導入には大きなメリットがあるのです。 従来の、印象剤と石膏を使った2段階の変換を経る模型作製では、どうしても人的に精度エラーが発生するリスクが高くなります。しかし、歯肉縁上のケースなどのような口腔内スキャナーに適した症例さえ選べば、口腔内スキャナーを使った印象採得の方が従来の印象採得方法よりも、はるかに多くの症例数がこなせ、精度もある一定の品質を保てるため、患者数の多い歯科医院の場合は、導入メリットが大きくなります。
今回の取材で、実際に口腔内スキャナーを導入している歯科医院のドクターに方々に話を伺ってみると、導入メリットとして一番多く挙げられたのは、”印象剤を練るところから始まり、印象に関わる業務全体として約15分くらいかかっていたが、たった2分半で終わるようになり、その分、患者を治療する時間が増えたことが一番嬉しい”、というものでした。
たしかに、保険診療では診療効率を重視するドクターが多いため、もし投資対効果が見合うのでならば、口腔内スキャナーが爆発的に普及することは間違いないと思われます。しかし実際に、口腔内スキャナーは、その投資対効果に見合うのでしょうか?また、2019年現在、どのメーカーの口腔内スキャナーが人気があり、いくらくらいで販売されているのでしょうか?もう少し詳しく見てみましょう。
口腔内スキャナーの導入費用はいくらくらいかかるのか?
まずは、口腔内スキャナーの国内市場のシェアについて見てみましょう。国内では2000年代前半に、デンツプライシロナ社がCEREC(セレック)を販売し、その後、各社から次々と製品が販売されています。技工士ドットコムの調査によると、2019年1月現在の国内シェアでは、セレックがシェア76%を獲得して圧勝の状態となっており、次に3shape社のTriosシリーズ、ヨシダのTrophyシリーズの順番と続きます。口腔内スキャナー人気ランキング(2019年1月現時点での国内シェア)
さて次に、直近5年間でどのメーカーの口腔内スキャナーが人気があるのかを見てみましょう。下記のグラフは、口腔内スキャナーの代表的なメーカー別/機種別の、直近5年間の国内販売台数の推移を示しています。
ご覧のとおり、市場全体では5年間で32%という高成長が続き、中でも、3shape社のTrios3が国内で販売実績を急激に伸ばしていることが分かります。たしかに口腔内スキャナーを導入した歯科医師に話を聞くと、他社製品と比較した場合、Trios3の使い勝手が優れているという声を耳にするので、妥当な結果かもしれません。
口腔内スキャナーの国内販売台数の推移
またスリーエム社は、以前販売していたCAD/CAMは自社CAM機しか使えないクローズなシステムでしたが、最新モデルの「トゥルー・デフィニション」はオープンシステムを採用しており、業界最小&最軽量でコンパクトで使いやすく、スキャンスピードも速いため、今後はさらに販売数を伸ばすかもしれません。なお、ヨシダのTrophy(トロフィー)は、内臓ヒーターによりカメラ部分が曇りにくいことや、本体を買い替えることなく、画質や機能が随時バージョンアップされることが魅力です。
次に、さらにもう少し詳しく、代表的なメーカーの製品動向をみてみましょう。
口腔内スキャナー単体として最も国内で販売実績のある3Shape社のTrios3は、実際のディーラー販売価格が約500万円(参考:技工士ドットコム調査結果)となっており、まだまだ販売価格が高額なため、ここ数年のメーカーの販売強化やドクターへの認知度アップ効果によって販売数が急拡大しているものの、市場シェアを大きく獲得するには至っていません。
上記の販売実績の推移の通り、2000年以降にCAD/CAMシステムのパイオニアとして国内販売を開始し、過去4回の大きなバージョンアップが行われ、現在、最も国内シェアを獲得しているデンツプライシロナ社のCEREC(セレック)は、パウダーフリー&フルカラーのスキャニングシステムとして、日本国内では圧倒的なシェアを獲得しています。 しかし、そろそろ最新機種の発売から約7年が経ち、そろそろ購入したユーザーによる買い替え需要のタイミングに差し掛かっているのですが、CEREC(セレック)が約1,000万円という高額なシステム価格であることと、セレックに投資した金額ほど利益が回収できていないため(少なくとも、セレックを導入したことにより儲かっている歯科医院が一部しかいないため)、買い替えニーズが弱いのがメーカーの課題と言えるでしょう。
現在は、多くの歯科医院が院内技工ではなく歯科技工を外注しています。もし歯科医院が高額なセレックを購入しても、日常の診療で忙しいドクターは、なかなか自分自身で技工物をデザインする時間がありません。結局、ドクターが治療に専念すればするほど、歯科技工を外注せざるを得ないことになり、セレックの買い替え需要が広がらないことにつながっているのではないでしょうか。
GC社(ジーシー)が200万円を切る廉価版口腔内スキャナーを販売?
2019年後半もしくは2020年には、GC(ジーシー)社から白黒タイプの廉価版の口腔内スキャナーが200万円を切る価格帯で販売されると言われており、保険のCAD/CAM冠を効率よく作製するために、口腔内スキャナーを導入したいという歯科医院の強いニーズをうまく捉えられれば、海外と同様、口腔内スキャナーが日本でも爆発的に普及する可能性があります。さらに将来、口腔内スキャナーの使用に保険点数が付与されれば、ほとんど歯科医院に導入されるといわれており、メーカーの熾烈な販売競争が繰り広げられるでしょう。
【2019年最新版】口腔内(オーラル)スキャナーに関するまとめ
口腔内スキャナー全体の販売台数自体は伸びている。
・口腔内スキャナーの歯科医院の浸透率は、約2.9%・国内シェアNo1のセレックは、販売台数は横ばい、もしくは、やや減少傾向
・Trios3は、販売台数が急激に増加、ただし、国内シェアはまだ15%程度
金銭的&時間的に、導入メリットが大きい
・材料費の削減・送料の削減
・人件費(印象関連の作業時間)の削減
・(ケースを選べば)技工精度が上がる
廉価版の登場により、爆発的に普及する可能性がある
・3Shape社のtrios3は自費技工物の作製に利用されるケースが多い・GC(ジーシー)社が白黒の廉価版口腔内スキャナーを販売する予定がある
高額&発注先のラボが少ないというデメリットも
・まだまだ高額なため、投資対効果に見合わないケースが多い・発注できる(デジタルで仕事を受けられる)歯科技工所が少ない
CAD/CAM技工で評判のラボとは?
近年、歯科技工所の専門化が進み、CAD/CAMへの設備投資を惜しみなく行い、CAD/CAM技工に関して圧倒的な知識や経験を持つCAD/CAM特化ラボも登場しています。CAD/CAM技工は、まったく同じ3DプリンターやCAD/CAMシステムを使用しても、その繊細で複雑な調整やセッティング、焼成ノウハウなどにより、出来上がりの品質は全く異なることはあまり知られていません。技工士ドットコムでは、そのような数多くのCAD/CAM技工が上手いラボの中から、特にCADCAM技工でドクターからの評判の高いラボを厳選し、ご紹介させて頂いております。ご興味のある方はぜひ、下記の注目の歯科技工士インタビューをご覧頂けると幸いです。